気になる体の左右差~前編~ <第59号>
- yshibata63
- 10月2日
- 読了時間: 3分

人の体は、頭のてっぺん(頭頂)→眉間→鼻の先端→顎先・喉仏→胸骨→みぞおち→臍→股間(陰部)→脊柱(背骨)→頭のてっぺんへと、ぐるっと一周をつないで、それを正中として左右に均等・均一に分かれています。
そして下方には2本の下肢が、肩からは2本の上肢がバランスよく出ています。
このように人の体はいかにも左右対象に揃っているように思えますが、実際はどうでしょうか。
結論からいうと、一人としてその通りになっている人はいないのです。
まず胎児は、大きくなればなるほど子宮内で体を折り曲げ、窮屈な状態で入っています。
出産の際には胎児より狭い産道を通り抜けて出てこなければなりません。
母体の骨盤の形と胎児の体の向きをうまく合わせながら体を捻って回旋しながら抜け出さなければならないのです。この回旋の際には、柔らかい骨と骨同士をつなぐ部位がある程度、産道の狭さに合わせて柔軟に動いてくれなければなりません。
特に一番に出てくる頭には縫合、前後径が大きい骨盤には軟骨結合と呼ばれる装置が備わっていて、それぞれ柔らかい層が骨と骨との間に入っていて、その役目を果たしています。
ここまでにおいても微妙な左右の違いは発生しますし、また出産時の回旋障害によって出産が長引いたりすると、産道での圧迫によって頭部や骨盤部における左右差が大きくなってしまうこともあります。
生れてしばらくは誰が見ても大きなアンバランスは感じることはできないものです。しかしその後、本格的に左右差がうまれてくる生活が始まるのです。体の動かし方は、個が持つ特性によって右利きと左利きが確率していきます。脳の働きとも関係しますが、左右同じ使い勝手で暮らし、左右同じ力を発揮できる人はほぼいません。野球のバッターにおいて、ごく稀に左右差が少なくヒットを打つことができるスイッチヒッターの人がいますが、このような人は多くはありません。
日常生活において、利き手は目的に合わせた動作をこなす一方で、非利き手は物が動かないように固定したり思い荷物を持つなどの役目を果たしているのでしょう。 利き手と非利き手を逆にして、包丁さばきが円滑にできる人はほとんどいないはずです。
利き足は、歩行や跳躍の際に主役を成す一方で、非利き足は体を支えたりバランスを整える役目を果たしていると考えられます。
左右の足を逆にして、脚立で踏ん張って安全に安心して作業ができる人はほとんどいないはずです。
この日々の左右差によって、正中部を成す脊柱に左右の歪みを生じてもくるのです。 (次号に続く)
次回(第60号)は10月10日(金)頃に発行予定です。



