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気になる体の左右差~後編~ <第60号>

  • yshibata63
  • 10月10日
  • 読了時間: 3分
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前号からの続きです。 生まれてから思春期頃までに病的に体の左右差を生じてしまうものに、首では"新生児筋性斜頸"、背中では"特発性側弯症"の二つが挙げられます。 


【新生児筋性斜頸】

胸鎖乳突筋という筋肉にしこりや短縮が起きて首が傾きます。胸鎖乳突筋は、首の最も前下中央部の胸骨とその両側の鎖骨の内側から始まり上斜め後ろに伸び、耳たぶの後にある骨の高まり(乳用突起)に付く大きな筋肉です。これに上記の障害が起こるとその側に首が引っ張られて傾き、反対側は斜め上に顔が向いてしまいます。


生後2週から一か月の間に産科の医師が発見し処置を施せば治癒できます。しかし発見が遅れると筋肉の引っ張りによって頸椎の変位と捻じれが起きて生涯に渡る左右差を生じ、首全体の筋肉への負担や頭痛などの症状を伴うこととなります。 


【特発性側弯症】

中学生の成長期に発達バランスの不調和に伴って胸椎の側弯が生じます。女子に多く、12個ある胸椎のどれか、もしくは複数に、左右への変位が始まり、その椎骨を基軸に上半身が傾いてきます。


学校あるいは家族がこの変化を察知して対処に赴く必要があります。

外観的に弯曲がひどくなければ見落とされがちで、そのまま成人になってしまうケースが多いように見受けられますが、確認できた場合は装具による補正あるいは整復手術が行われます。


肩・背中・腰に頑固な痛みを感じている人や内臓の不調を感じている人のうち、背中をよく観察すると強い側弯が存在している人がいます。この側弯は明らかな原因は特定されていませんが、成人になってからの補正はほぼ不可能と認識してください。 


前号で記したように、ほとんどの人に利き手と非利き手がある以上、使用頻度、力の入れ方、重心の取り方は左右どちらか一方に偏った形で日常生活を送っていることになるのです。その差が大きければ大きいほど左右差は顕著になります。脊柱の側弯に伴う胸郭の左右差、骨盤のズレなどが全身の姿勢の変容をさらに大きくし、やがて外見的にも左右差が認識されやすくなります。多くの人はこの左右差をとても気にしているのです。 


左右差を治す、あるいは補正できるのは、年齢が若いこと(二十歳頃まで)、筋肉や組織に柔軟性が大きいこと、関節の動きが滑らかであることなどが条件です。


上記に該当しない人が、無理やり左右差を治そうと歩き方や姿勢を変えたりすると別の場所に痛みが出たり、転んだりして良いことにはなりません。

左右差にはあまりこだわらず、痛みなどの症状には冷静に向き合って治療に臨んでください。                       

次回(第61号)は10月20日(月)頃に発行予定です。                  

            

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