ぎっくり腰…魔女の一撃を治す(前編) <第61号>
- yshibata63
- 5 日前
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朝、目覚めて起き上がろうとしたら急に腰の痛みを感じて起き上がれなくなった、買い物かごを持ち上げたら予想外に重く、力を込めた瞬間に強い痛みが起きて動けなくなった、洗面台の前に立って歯磨きをしようとしたら腰に激痛が走って腰の曲げ伸ばしができなくなった…などなど、突如として痛みに襲われた経験がある人は多いと思います。
その後は数日に渡って強い痛みが続き歩行や立ち座り、寝返りができなくなり、日常生活や仕事に支障が出たはずです。またこれをきっかけに腰の痛みが治らなくなったり、同じ症状を何度も繰り返すようになっている人もいることでしょう。
このように突然に起きる腰の痛み(腰痛)は、"ぎっくり腰"という表現で呼ばれ、広く知られています。
ドイツやイギリスなどではこれを"魔女の一撃"と称して、ある意味恐るべき症状として呼ばれているのです。
急に気温が下がり、寒さも感じる今の季節は、ぎっくり腰(魔女の一撃)を経験する人が多くなります。
暑さの中で和らいでいた骨格筋は、気温差に伴って次第に硬さが増し、動きが悪くなってきているため、症状が起こりやすくなるのです。
ぎっくり腰の医学的な病名は、"急性腰痛症"です。
これを引き起こす原因として最も多いのは"筋筋膜症"と呼ばれるもので、腰の筋肉が不用意に引き延ばされたり、筋肉を包んでいる筋膜というカバーの部分が破れたり引き裂かれたりしている状態が起きているもので、この場合は適切に三療治療(鍼・あん摩・指圧・マッサージ・灸)を施せば数日から10日程度で回復します。
一方、腰椎椎間板ヘルニア、脊椎滑り分離症などの腰椎の障害、仙腸関節(腰椎の下に続く仙骨と骨盤の後上の部分の腸骨との間にできる関節)の障害などに先立って生じている痛みの場合は、回復が長引いたり、お尻から下肢に痛みやしびれが放散して腰の痛みも継続します。
なお、このような腰の痛みに対して”腰の筋肉が切れているのでは?”という質問を受けることがありますが、腰ではそのようなことはほぼ起こりません。(筋肉が切れた時は"断裂"と呼び、アキレス腱断裂がよく知られています)。
ぎっくり腰の痛みは大変厳しく鋭いもので、腰全体に広く広がる他、ベルトを締める位置よりさらに下に続く仙骨にまで達します。どこが最も痛い部分かを確認すると共に、腰の前後への曲げ伸ばしと左右への屈曲と回旋を行うことでどの方向で痛みが強くなるかを特定することが必要です。(次号へ続く)
次号(第62号)は10月30日(木)頃に発行予定です。



