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痛みに耐えてストレッチ?




”筋肉ストレッチ”は運動のパフォーマンス向上や疲労回復に役立つものとして日常的に広く行われるようになりました。短縮した筋肉を引き伸ばして関節が動く範囲を拡げるというある意味、単純なテクニック。

 

この手の運動は誰もが行った経験があるでしょう。この運動は、ほぼ必ずと言っていいほど”痛み”を伴うものの、ある程度は我慢して行わなければならないと認識しているのではないでしょうか。



 

コラム第8号”柔らかい体、硬い体”の中で、体の柔らかさと硬さの違いに影響するのは”皮膚の下にある組織の結合性、筋肉の収縮性と伸張性、関節の可動性の三つです。”と書きました。関節の可動性は、各関節毎に骨どうしが作る形によってその動く範囲が決定づけられています。筋肉の収縮性と伸張性は、人によってかなり異なると共に、この性質を強めることもできます。組織の結合性は、その結合の強度によって関節や筋肉の動きの良し悪しを左右します。

 

ストレッチは、関節の動く範囲を下回っている時と範囲を超えててさらに動かしたい時、動きをスムーズにしたい時に行いたくなるものです。テレビやユーチューブなどのメディアで、その行い方が広く紹介されているほか、専門家を謳う(うたう)、ストレッチ店に通うなどして実践している人は多いことと思います。

 

ここで一つ、警鐘を鳴らしたいことがあります。ストレッチを行えば関節の動く範囲が広がり、筋肉が伸びて柔らかくなると無条件に信じてはいないでしょうか。

見よう見まねで、また誰かにいいと薦められたからといって、適当に行ってはいないでしょうか。

 

メディア等で紹介されているストレッチのやり方は、おおよそ健康な状態の人を対象にしたもので、一人ひとりの関節や筋肉、全身状態などの病的な要素を盛り込んで提示されているものではありません。最近は高齢者に対する、“ゆるめのストレッチ”などと称して紹介されているものも多いですが、痛みを感じても我慢して行えば効果が得られると頑張る人が多いのが実情です。関節の動きは関節個々に異なり、その動く方向性も直線的とは限らず、複雑です。動かす方向が間違っていれば、動く範囲は改善されないばかりか、痛みが強くなったりして止まるはずの痛みも止まらない結果になります。

 

当院では、例えば肩関節や股関節であれば、関節の病状を把握し、関係する多くの筋肉個々の痛みや伸縮性を確認した後、関節の動く範囲を制限している組織を緩める三療施術(鍼、あん摩/指圧/マッサージ、灸)を行いますので、望ましい筋肉のストレッチ効果を引き出すことが可能です。       <第23号>

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